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失速する理由

最も収益性の高い顧客は、不満を感じる理由が最も多い顧客である

顧客が離反してくれたほうが収益性の高いルールがある

ルールが理解しにくい、あるいは守りにくい。実質的に顧客にルール違反させやすくしている。

顧客が離反したり、他社に鞍替えしたりするのを防ぐために、契約書によって縛りがかけられている

 

ゲイル・マクガバン&ヤンミ・ムン

 

日経ビジネスを読んでいたら「ケータイ市場、歴史的な失速」という記事がありました。

『今年4~6月の携帯電話の国内販売台数は前年同期比で約25%落ち込んだ。』

各社とも同じような割合で販売台数を減らし、現況が続くと今年は4000万台まで落ち込むとする見方もあるようです。

昨年の国内では5000万台の販売台数で過去最高の水準だったのだそう。

これが1000万台に落ち込むと、端末製造業界は4000~5000億の減収、代理店は300億円の減収となるようです。

 

ここまで落ち込んだ理由が2つ述べられています。

①携帯電話の販売方法が変化したこと

通信事業者が料金と端末価格を分離し、端末価格を割賦で販売する方式を導入。

結果、割賦制を選んだ消費者は1~2年間は端末の買い替えがしにくくなった。

②iPhone以外には特徴が際だった端末が新たに発売されていない

 

①にあるように、値頃感がなくなって「とりあえず今の機種で済ませよう」と買い控えの心理が働いているのはわかる気がしますが、②についてはどうでしょうね。

ヘビーユーザーではない私的には、機能がてんこ盛りの機種には少々食傷気味です。

機能過多により、使い勝手が逆に悪くなっているということはないでしょうか?

新たに追加された機能の調べ直すのは面倒だし、使いこなせるまでの労力を考えてしまいます。

 

私が使っている携帯電話は、昨年買い替えたばかりですが、使う機能はだいたい決まっています。

つい先日、iPhoneが発売され、販売前に徹夜組まで出る模様がテレビでも放映されていて、

運良く?手に入れた方は、ブログで紹介されていましたが、私はあまり反応しませんでした。

iPhoneを上回る特徴が付与された機種が登場しても、同じリアクションになると思います。

 

他社との差別化を機能面でしか追い求めないのであれば、売り手は顧客志向ではありませんね。

売れない理由は、もっと別のところにあるのではないでしょうか?

 

日経BPネットが、携帯料金プランについて調査した結果を紹介しています。

携帯料金プランについて、64%の人が「分かりにくい」と感じているというもの。

アイシェアのアンケート調査によると、携帯料金プランについて、64%の人が「分かりにくい」と感じている。現在利用中の料金プランについては、79.9%の人が「自分で決めた」としているが、そのうち4人に1人が不満を持っている。

性別でみると、女性は60.7%、男性は70.3%が、携帯電話の料金プランについて、分かりにくいと感じている。年代別にみると10歳代では51%、20歳代は64%、30歳代は66%、40歳代は61%が、分かりにくいと答えた。

また現在利用中の料金プランを自分で決めたという人に、自分に合ったプランかどうかを尋ねたところ、27.7%が「もっとピッタリのプランがあると思う」と答えた。「いまのプランでピッタリだと思う」は50%で、「分からない」は22.3%だった。

一方、店員や知人、家族に料金プランを決めてもらった場合、「もっとピッタリのプランがあると思う」という不満は17%と少ないが、「いまのプランでピッタリだと思う」は44%とやや減り、「分からない」が39%と多くなった。

調査は7月18―22日にインターネット上で実施した。有効回答数は433。(nikkei bp net)

 

『4人に1人が不満を持っている』というところがミソですね。

ケータイ電話の料金プランを隅々まで読んで、自分にあったプランを選択している人もいるのでしょうが、

「自分は損をしているかもしれない」と気づきはじめている人も少なくないのではないでしょうか?

 

通常、そう感じたら顧客はただちに他社に乗り換えをするでしょう。

ところが、他社も似たようなサービス内容で選択する余地がないとしたら、

そのはけ口、不満はどこに向かうのでしょう?

売り手に満足を持たないことだけは、確かです。

 

自分の利用パターンに合わないプランを選ぶと、使いすぎてもその逆でも売り手が得をする仕組み。

冒頭の言葉を借りると、そろそろ買い手のミスにつけ込む方法論が限界に来ているのではないでしょうか?

 

ゲイル・マクガバン教授は、こうも述べています。

『顧客の弱みに乗じるのが当たり前の市場にあっては、透明で、価値あるものを提供すれば、

既存企業への不満をテコに、急成長を遂げることが可能である』

 

失速を止めるためには、新たな機能の開発・追加でカモフラージュする前に、

先の調査にあったような顧客の不満を解消することに着目してみなければならないでしょうね。

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コメント

  1. そういう状況ってありますよね。
    市場自体が満足できないようではですねぇ。
    いくら他でがんばったところで、
    どうしようもないですよね。
    応援くりっく!ぽちっ

  2. こんばんは。
    先月号の企業診断ニュースを見返してみました。
    会員クローズアップに登場していたのですね。
    私は先月に一歩踏み出してみました(fujiteru式創業ラボによる起業支援サービスの提供開始)。
     http://www.fujiteru.com/
    先輩診断士であります「まちすけさん」を見習い頑張っていきます。
    今後ともよろしくお願いします。

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