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稲盛和夫「高収益企業のつくり方」

稲盛和夫「高収益企業のつくり方」私の読書メモを紹介します。
著者:稲盛和夫

 

 

 1.本書からピックアップ

経営の目的を明確にした瞬間から、私には何をするにも迷いがなくなり、みんなのためにいかなる苦労もいとわないと言う新たな決意が湧いてくるのを感じました。人間が全身全霊で打ち込むには大義を必要とします。「大義」とは個人の利益ではなく、世のため人のためと言う「公」の利益のことです。

部門ごとの業績によってボーナスを上下すると言うのは、あまりにもドライな方法であり、計画以下の利益しか出ない部門の人間はやる気を失ってしまいます。一時的にボーナスが増えて喜んでる部門も計画以上に利益が出なくなり、ボーナスも増えないとなれば、急に冷めてしまい、意欲がなくなるのです。京セラでは、業績の良い部門にはボーナスで報いるのではなく、その功績を称賛することにしています。精神的な栄誉を与えているのです。 

人間の能力は、未来に向かってどんどん伸びていくものだ。今考えてできないことでも、半年先にはできるようになっているはずだ。だから、我々の能力を未来進行形で捉え、必ずできるはずだと信じて、頑張ろうではないか。未知の新技術を開発する際、リーダーは、高い目標を掲げ、自分たちの能力を未来進行形で捉えることが必要です。

 

 2. 感想

経営における「大義」とは、全身全霊で打ち込むための原動力である

  • 稲盛和夫氏が説く「大義」とは、単なる理念やビジョンではなく、経営に命を懸ける覚悟を生み出す“心の支柱”です。特に印象的なのは、「経営の目的が明確になった瞬間、迷いが消えた」という言葉。これは、経営者である自分自身が“誰のために、何のために”この事業をやっているのかを明確にすることで、あらゆる判断や行動に一貫性が生まれることを示しています。
  • 「大義」とは、世のため人のためという「公」の利益。この視点があるからこそ、困難にも粘り強く立ち向かい、組織全体を同じ方向へ導くことができる。短期的な利益や個人の損得を超えた「目的」を持つことの重要性が、本書を通じて強く伝わってきます。

“称賛”が人を動かす

  • 稲盛氏は、部門別業績によってボーナスを上下させる仕組みを「ドライすぎる」とし、京セラではあえて称賛という精神的報酬に重きを置くという運用をしています。
  • これは、ハーズバーグの「動機づけ・衛生理論」にも通じるアプローチだと思いました。ハーズバーグの理論では、「給与」「待遇」「ボーナス」といった報酬は“衛生要因”であり、不満を減らすことはできるが満足を高めることができないとしています。一方で、「承認」「達成感」「成長実感」といった“動機づけ要因”こそが、人のやる気を引き出すというのです。この考えを、稲盛氏は実際のマネジメントで徹底したのだなと思いました。
  • 功績を讃え、名誉を与える文化は、成果主義の落とし穴(短期志向)を防ぎ、全体最適の組織運営につながるという点で、極めて実践的です。

“未来進行形の能力観”が、可能性を最大限に引き出す

  • 稲盛氏が説くもう一つの核心は、「能力とは未来進行形で考えるべき」という発想です。人は自分の現在の能力を基準にして目標を決めがちですが、氏は「今はできないかもしれないが、半年後にはできるはずだ」と信じて目標を掲げることの大切さを語っています。これは単なる楽観主義ではなく、「人間の可能性」を信じる哲学であり、技術開発や事業成長において“自ら限界を決めない”ための思考法でもあります。挑戦するリーダーの姿勢が、チームにも波及し、「できるかどうか」ではなく「どうやったらできるか」に発想が転換されるのです。

 この言葉の活かし方

続きはこちらをご覧ください。稲盛和夫「高収益企業のつくり方」

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