私の読書メモ

現代の経営[上] (ドラッカー名著集②)

現代の経営[上] (ドラッカー名著集②)

現代の経営[上] (ドラッカー名著集②)

 1.本書からピックアップ

企業とは何かを理解するには、企業の目的から考えなければならない。企業の目的として有効な定義は1つしかない。すなわち顧客の創造である。
顧客が企業の土台として企業の存在を支える。顧客だけが雇用を創出する。社会が企業に資源を託しているのは、その顧客に財とサービスを供給させるためである。

事業のマネジメントとは何か。それはマーケティングとイノベーションによって顧客を創造する活動である。そこから導き出される第一の結論は、事業のマネジメントは、起業家的でなければならないと言うことである。第二の結論は、事業のマネジメントは、環境適応的ではなく、創造的な仕事でなければならないということである。第三の結論は、マネジメントは業績によって評価される意識的な活動でなければならないということである。

我々の事業は何かを知るための第一歩は、「顧客は誰か」と言う問いを発することである。「現実の顧客は誰か」「潜在的な顧客は誰か」「顧客はどこにいるか」「顧客はいかに買うか」「顧客にいかに到達するか」を問うことである。

目標設定の難しさは、いかなる目標が必要かを決定することにあるのではない。いかに目標を設定すべきかを決定することにある。この決定を実りあるものにする方法は一つしかない。八つの領域(マーケティング、イノベーション、生産性、資金と資源、利益、マネジメント能力、人的資源、社会的責任)それぞれにおいて測定すべきものを決定し、その測定の尺度とすべきものを決定することである。

 2.感想

経営とは、内部を整えることではなく「顧客を創造し続ける活動」である

現代の経営でドラッカーが最初に提示するのは、「企業とは何か」という根源的な問い。その答えは一貫して明確です。
企業の目的は利益ではなく、顧客の創造である。

顧客がいなければ、雇用も、売上も、利益も存在しない。社会が企業に資源を託す理由も、顧客に価値を提供させるためである。この視点に立つと、経営の議論は一気に整理されます。社内の都合や効率、制度設計はすべて「顧客を創造できているか」という一点に収束していきます。

またドラッカーは、事業のマネジメントを「マーケティングとイノベーションによって顧客を創造する活動」と定義します。ここで重要なのは、マネジメントを管理や統制の技術として捉えていない点です。
マネジメントとは、本質的に起業家的であり、環境に適応するだけでなく、未来をつくる創造的な行為である。そして、その成果は善意や努力ではなく、業績によってのみ評価されると言います。

「我々の事業は何か」という問いに対しても、ドラッカーは内向きな答えを許しません。
製品や技術から考えるのではなく、「顧客は誰か」「どこにいるか」「どのように買うか」「どうすれば届くか」という問いから始めよ、と説きます。これは、事業定義を常に外の世界に開き続けよ、という強いメッセージです。

さらに、目標設定についての指摘も極めて実務的です。
問題は「何を目標にするか」ではなく、「どう測るか」にある。測れないものは、管理できない。だからこそ、八つの領域それぞれについて、測定すべきものと尺度を明確にせよと求めます。
ここには、経営を感覚や気合ではなく、意識的で再現可能な営みとして成立させようとするドラッカーの思想が表れています。


 3.この言葉の活かし方

事業を「顧客の創造」という一点から捉え直す

具体的な活かし方
• 売上や利益の前に、「自分たちは誰の、どんな課題を解決しているか」を言語化する
• 社内の議論が内向きになったとき、「それは顧客の創造につながるか」を問い直す
• 新しい施策や改善案を、顧客価値の観点で整理する

実践例
業績が伸び悩んだ際、コスト削減や管理強化に走る前に、「現実の顧客」「潜在的な顧客」を洗い出し、提供価値が時代やニーズに合っているかを見直す。


マネジメントを「管理」ではなく「創造の仕事」として捉える

具体的な活かし方
• 現状維持や環境適応を目的にせず、新しい価値創出を前提に考える
• マネジメントを、ルール運用ではなく成果創出の手段として捉える
• 失敗を避けるより、学びを伴う挑戦を許容する

実践例
既存商品が安定している状況でも、新たな顧客や用途を探る取り組みを続け、将来の顧客創造につながる実験的施策を行う。


「我々の事業は何か」を顧客の問いから定義する

具体的な活かし方
• 定期的に「顧客は誰か」「どこで、どう買っているか」を問い直す
• 自社目線の強みや技術説明から、顧客視点の価値表現に言葉を置き換える
• 潜在顧客の存在を前提に事業を見直す

実践例
自社の事業説明を、「何を作っている会社か」ではなく、「誰のどんな困りごとを解決している会社か」という形で再定義する。


目標を「設定」ではなく「測定」から設計する

具体的な活かし方
• 目標を掲げる前に、「何を測るべきか」を明確にする
• 財務指標だけでなく、マーケティングや人材、社会的責任の視点を含める
• 定量と定性の両面で、判断基準を揃える

実践例
年度計画を立てる際、売上目標だけでなく、顧客満足、提案件数、人材育成の進捗など、複数の測定指標を設定し、経営判断の材料とする。

 


 4.まとめ

『現代の経営』が示しているのは、経営を特別な才能の世界から引き戻す思想です。

企業の目的は顧客の創造である。
マネジメントとは、マーケティングとイノベーションによる創造の仕事である。
経営は、意識的で、測定可能で、成果によって評価される活動である。

経営とは、内部を整えることではなく、外の世界に価値を生み出し続ける営みです。
いま自分たちの事業は、顧客を創造できているでしょうか。
その問いを持ち続けることが、経営を経営たらしめます。


 5.「私の読書メモ」でご紹介した本

P.F.ドラッカー
『現代の経営[上](ドラッカー名著集2)』(Amazonへ)
顧客・マネジメント・目標設定の本質を体系的に示した経営思想の原点

 

現代の経営[上] (ドラッカー名著集②)|私の読書メモ

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