若手が管理職になりたがらない本当の理由
若手が管理職を敬遠するのは、個人の問題ではない
なぜ「やりたくない役割」になってしまったのか
意識改革ではなく、組織設計の転換が必要
経営が主導すべき次の一手
結論:個人の問題でなく組織的課題
若手が管理職を敬遠するのは、個人の問題ではない
「最近の若手は管理職になりたがらない」。こうした声を、経営者や人事労務責任者の方から耳にする機会が増えています。
しかし、この現象を本人の意欲や覚悟の問題として捉えてしまうと、本質を見誤ります。若手が管理職を敬遠する背景には、個人ではなく組織の構造そのものに起因する問題が存在しています。
多くの若手社員は、管理職という役割を「割に合わない」と感じています。これは感情論ではなく、極めて合理的な判断です。
権限は限定的である一方、責任だけが重く、現場業務も抱え込む。その結果、長時間労働や精神的負担が増え、昇進が魅力的な選択肢として映らなくなっているのです。
なぜ「やりたくない役割」になってしまったのか
若手が管理職を避ける理由は、単に忙しそうだからではありません。背景には、「失敗すると評価が下がる」という減点主義の評価風土と、管理職を支える組織的な後ろ盾の弱さがあります。
管理職になった途端、判断の責任を一人で背負わされ、うまくいかなければ評価が下がる。相談できる相手や仕組みもなく、孤立しやすい。このような環境では、管理職は成長のステップではなく、罰ゲームのような役割に見えてしまいます。若手が慎重になるのは、むしろ自然な反応だと言えるでしょう。
意識改革ではなく、組織設計の転換が必要
重要なのは、若手に「挑戦しろ」「覚悟を持て」と精神論を語ることではありません。必要なのは、管理職の役割設計そのものを見直すことです。
例えば、責任と権限のバランスを取り直すこと、管理職同士が相談・共有できる仕組みを整えること、失敗を学習として扱う評価の考え方へ転換すること。こうした構造的な支援があって初めて、管理職は安心して判断し、力を発揮できます。
心理的に安全な登用モデルへ移行することで、管理職への挑戦は「リスク」ではなく「成長の機会」として認識されるようになります。その結果、組織全体の意欲が高まり、次世代リーダーが継続的に育つ流れをつくることが可能になります。
経営が主導すべき次の一手
管理職育成は、人事部門だけに任せるテーマではありません。経営層が主導し、「管理職が成果を出せる環境を整えることは、経営の責任である」と明確に位置づける必要があります。
若手が管理職を敬遠する現象は、組織からの重要なサインです。それを嘆くのではなく、構造を点検し、仕組みによる支援へと舵を切る。この選択が、企業の持続的な成長と次世代リーダーの確保を左右します。
結論:個人の問題でなく組織的課題

「若手が管理職を敬遠する」これは個人の問題でなく組織的課題です
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