リーダーが「目を見る」だけで、チームの動きが変わる理由
1.ふとした違和感の正体
2.人が動き出す前に必要なもの
3.行動を引き受けられる関係性とは
4.日常の関わりが、チームをつくる
1.ふとした違和感の正体
朝の打ち合わせの席で、部下が何か言いかけて、言葉を飲み込んだ。
そんな場面に心当たりはないでしょうか。
報告は問題なさそうに聞こえる。数字も大きくは崩れていない。
けれど、どこか空気が軽くない。
その違和感の正体は、意外なほど小さなところにあります。
それは、「目が合っていたかどうか」です。
相手の目を見るという行為は、
「私は、今あなたに向き合っています」という姿勢そのものです。
人は、言葉以上に態度を読み取ります。
忙しそうに資料に目を落としたまま返された「大丈夫?」と、
目を見て、間を置いて投げかけられた同じ言葉では、
受け取り方がまったく変わります。
前者では、「形式的に聞かれている」と感じ、
後者では、「自分の状態を気にかけてもらっている」と感じる。
この差は小さく見えて、行動の差として積み重なっていきます。
2.人が動き出す前に必要なもの
人は誰でも、認められたい、役に立っていると感じたい存在です。
それは承認欲求という言葉で片づけられるものではなく、
「ここにいていい」「自分の考えを出していい」という安心の感覚です。
リーダーが真正面から向き合うとき、
メンバーは評価される前に、まず安心します。
安心が生まれると、思考が動き出し、行動の質が変わります。
「この人なら、本音を話してもいい」
「この人の前なら、一歩踏み出してもいい」
そうした気持ちは、叱咤激励から生まれるものではありません。
日々の関わりの中で、「見てもらえている」という実感が積み重なった結果です。
3.行動を引き受けられる関係性とは
人が行動を引き受けるとき、そこには前提があります。
それは、「自分は放り出されない」という感覚です。
この前提がないまま、次の関わりに進むと、
善意であっても、意図とは違う形で受け取られてしまいます。
だからここで、一つ大切な誤解を解いておきます。
部下を信じることは、放っておくことではありません。
信じるとは、期待を言葉にすること。
関心を持つとは、結果だけでなく過程にも目を向けること。
見守るとは、何もしないことではなく、
必要なときに手を差し伸べられる距離にいることです。
この姿勢があるからこそ、
引き受ける仕事は「負担」ではなく「挑戦」になります。
4.日常の関わりが、チームをつくる
完璧な言葉はいりません。
正解の振る舞いを探す必要もありません。
今日一日、誰かと話すときに、
ほんの数秒でいいので、目を見て向き合ってみてください。
相手の話を遮らず、次の言葉を考えず、ただ聞く。
それだけで、関係性の質は確実に変わります。
強いチームは、特別な制度から生まれるのではありません。
日々の何気ない関わりの積み重ねから、生まれます。
今日、あなたの前にいる一人と、きちんと向き合うことからはじめてみませんか?
そこから、あなたのチームは静かに動き始めます。

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