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【書籍公開】理念×行動=自律するチーム(はじめに)

 理念×行動=自律するチーム: 理念を行動に変える自律するチームの実践体系

理念×行動=自律するチーム: 理念を行動に変える自律するチームの実践体系

『理念×行動=自律するチーム: 理念を行動に変える自律するチームの実践体系』(2025年9月15日出版)から、「はじめに」の原稿を無料公開します。

 

 はじめに なぜ、あの会社は「理念」が行動に表れるのか?

 
あなたの職場では、このような光景に心当たりはありませんか?
 
•  社員が指示待ちで、主体的に動かない
•  会議は報告だけで終わり、改善案が出てこない
•  新人を採用しても、数か月で辞めてしまう
•  職場に笑顔が少なく、ネガティブな言葉が飛び交う
•  業績や顧客満足度が伸び悩んでいる
 
私がこれまで経営者や管理職から受けてきた相談には、
このような悩みが少なくありません。

原因は、人材の能力不足でも、人手不足でもありません。
本質的な課題は、「理念が現場に息づいていないこと」にあるのです。

 

 理念が形だけの組織は力を失う

 「うちの会社には理念がある。毎日の朝礼でも唱和している」
そう答える経営者もいるでしょう。
 
しかし、社員の誰か一人でも「理念なんて現場には関係ない」と感じているなら、
その瞬間から組織は、本来発揮できる力を失い始めています。
 
理念は掲げるものでも、飾るものでもありません。
語られ、行動に変わったときに初めて、組織を動かすエンジンになるのです。

石工の物語が教える「想いの力」

 中世の街で、旅人が教会建設現場を訪れたときのこと。
レンガを積む3人の石工に「何をしているのか」と尋ねました。
 
1人目は、「親方に言われたからレンガを積んでいます」
2人目は、「生活のためにレンガを積んでいます」
3人目は、「世界に誇れる大聖堂を建てています」
 
同じ作業でも、意識の違いで仕事の価値はまったく変わります。
1人目は「作業」、2人目は「義務」、3人目は「使命」と考えて取り組んでいるのです。
 
もしあなたの組織が、1人目の石工ばかりだったらどうでしょうか。
一方で、3人目の石工が増えたとき、理念は組織全体の推進力となり、職場は劇的に変わります。
 
この物語が示すのは、想いが行動を変え、行動が組織の未来を形づくるという真理です。

 

 本書でお伝えしたいこと

 前著『育成マネジメント』では、「任せる・育てる・信じる」を軸に、
管理職が育てば会社が伸びるという視点から、人材育成の本質をお伝えしました。
 
本書で焦点を当てるのは、
経営者の想いとも言える創業の精神であり、企業の存在意義を示す「理念」です。
理念を掲げるだけでなく、組織の末端にまで浸透させ、日々の行動として根づかせることができれば、社員は自ら考え、動き出すようになります。
 
そのためのキーワードが「理念×行動=自律するチーム」。
本書では、理念を言葉にとどめず、行動に変えることで、組織に自律するチームを生み出す具体的な道筋をお伝えします。


 
「理念×行動=自律するチーム」という方程式

本書のタイトル「理念×行動=自律するチーム」は、この真理を一つの方程式に置き換えたものです。
 
• 理念:企業の根幹となる軸。しかし「壁に貼ってあるだけ」では意味をなさない。
• 行動:理念を血肉化し、現場で具体的に表すもの。行動に変わらなければ成果につながらない。
• = 自律するチーム:理念が行動に変換されたとき、社員が自ら考え動き、経営者の理想である自律型組織が完成する。
 
理念と行動は、足し算ではなく、かけ算でなければなりません。
その理由は二つあります。
 
• 相乗効果:理念が行動に宿ると、行動は理念を体現し、互いに力を高め合う。
• ゼロの警告:どちらかが欠ければ結果は「ゼロ」になる。理念がなければ行動は迷走し、行動がなければ理念は空洞化する。
 
だからこそ「理念×行動=自律するチーム」という方程式は、シンプルでありながら奥深い真実を示しています。
そして本書は、この方程式を現場でどう実践するかを具体的に解き明かすものです。

 

 本書で語る5つのテーマ

本書は、著者自身が現場で実践し、検証して成果を積み重ねてきた集大成です。
そのうえで、理念が現場に根づき、行動と成果を生むまでのプロセスを体系的に解説します。
 
第1章では、理念が語られないと何が起こるのか──離職、迷走、顧客不信といった現実を直視します。
第2章では、著者自身の経験をもとに、理念が人を動かす原点=「想いの力」を解き明かします。
第3章では、理念が掛け声で終わらず、現場で自律的な行動を生み出すための具体的方法を紹介します。
第4章では、理念を組織に根づかせる「3つのステップ」というシンプルかつ強力な浸透プロセスを解説します。
第5章では、理念が人を育て、組織を進化させる「見えない経営資源」としての仕組みを示します。

 

 本書で得られる未来

本書を読み進めることで、あなたの会社にこんな変化が訪れます。
 
①経営者が理念を語り、管理職が背中で示し、部下を動かす力を持つ
→ 会議での一言が「数字を追え」ではなく、「理念に照らすとどう判断する?」に変わります。部下は受け身から、自ら考えて動く存在に変わります。
 
②現場の判断が統一され、スピードと質が高まる
→ 顧客からの問い合わせに、誰が対応しても同じ答えが返ってくる。マニュアルではなく理念を基準にしているから、現場は迷わず動き、対応が速くなります。
 
③理念を軸にした採用・育成が定着し、離職率が下がる
→ 採用面接では「理念に共感できるか」が最初の基準になる。入社した新人は「ここで働けてよかった」と感じ、数年後にはチームの中心に育っています。
 
④自律するチームが生まれ、業績にも確かな変化が現れる
→ 営業会議では「数字が足りない」ではなく、「理念に基づいて顧客にどう貢献できたか」が話題になる。その積み重ねが、売上や顧客満足度の数字となって跳ね返ってきます。
 
あなたがページをめくるたびに、「今日からできること」が見えてくるはずです。

さあ、理念が息づく未来へ

理念が動けば、人が動きます。
人が動けば、組織は変わります。
 
この本は、あなたと共に歩む伴走の書です。
日々の小さな会話や行動が、やがて組織の文化となり、未来を変えていきます。
 
さあ、この一冊から、現場を動かす旅を始めましょう。

                          2025年9月 大場 宣英

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