私の読書メモ

ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか

ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか。私の読書メモを紹介します。
著者:エイドリアン・スライウォツキー

「私の読書メモ」とはなにか?

ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか

本書からピックアップ

大企業デルモアの戦略企画部門で働くスティーブは、自社の業績落ち込みに悩んでいた。そんなとき「ビジネスで利益が生まれる仕組みを知り尽くした男」デビッド・チャオと出会い、その教えを請うことになる。

深い洞察と豊富な経験を持つチャオは、利益を実現する23の方法を1つずつスティーブに語り始める。生徒の探究心を徹底的に引き出すチャオのレッスンが回を重ねるにつれ、利益発生の秘密、現実に行われている戦略の問題点が解き明かされていく。

利益を実現する23の方法(マインドマップ)

ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか

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 1. 感想

利益は「戦略的に生み出すもの」である

  • 本書は、利益とは単なる「売上からコストを引いた結果」ではなく、 どのようなビジネスモデルなら持続的に利益を生み出せるのか」という本質的な問いを投げかけています。「なぜ利益が出ないのか?」と悩む企業も少なくない中で、 23の利益モデルを提示し、企業が利益を生み出す仕組みを具体的に解説しています。
  • 本書は、スティーブとデビッド・チャオの対話形式で進むストーリーは、 抽象的な理論ではなく、現実のビジネスにどう適用できるかを示し、読者が実際に自社の状況に置き換えて考えやすくなっています。

「利益モデル」を理解し、状況に応じて適用する

  • 本書では、利益を生み出す 23のモデル が紹介されていますが、ここでのポイントは 「すべてのビジネスに万能な利益モデルは存在しない」ということです。
    企業のビジネスモデルや市場環境に応じて最適な利益モデルを選び、適用することが求められます。
    例えば、
    • 「顧客ソリューション利益モデル」(顧客の問題解決が利益の源泉)
    • 「ブランド利益モデル」(顧客の感情や信頼に基づく利益創出)
    • 「デファクト・スタンダード利益モデル」(業界標準を確立し、利益を独占する)
    これらは、それぞれ異なる市場環境で効果を発揮するものです。

利益を生み出すには、競争優位性が必要

  • 本書は「どんなものでも差別化できる」というジャック・トラウトの差別化理論や、「利益を生み出すのは競争優位のあるポジションを取ることだ」というマイケル・ポーターの戦略論とも共鳴します。つまり、利益を生むには、単に売上を増やすのではなく、 競争の中で独自のポジションを確立し、そのポジションから生まれる価値を最大化する必要があるのです。例えば、
    • Appleは「ブランド利益モデル」+「デジタル利益モデル」 を
    • Amazonは「顧客ソリューション利益モデル」+「インストール・ベース利益モデル」 を活用している
    これらの企業は、単なる「低価格戦略」ではなく、利益を生み出す仕組みそのものを構築しているのです。

 

 2. この言葉の活かし方

「利益は偶然生まれるものではなく、戦略的に設計するもの」 → 自社の利益モデルを明確にする

具体的な活かし方

•  自社の利益がどこから生まれているのかを分析する
•  既存のビジネスモデルがどの利益モデルに当てはまるかを考える
•  競争環境の中で、どのモデルを強化すれば持続的な利益を確保できるかを検討する

実践例
ある企業が 「スペシャリスト利益モデル」 を強化し、業界特化型のサービスに特化することで、価格競争を回避しながら高利益を確保できるようになる。

「利益を生み出す23の方法を知る」 → 自社に合った利益モデルを選び、組み合わせる

具体的な活かし方

•  23の利益モデルの中から、自社に最も適したものを特定する
•  1つの利益モデルに依存せず、複数のモデルを組み合わせる
•  定期的に利益モデルの見直しを行い、市場環境の変化に適応する

実践例
SaaSビジネスでは、
「インストール・ベース利益モデル」(定額課金による安定利益)
「デファクト・スタンダード利益モデル」(市場での標準化を狙う)
「ブランド利益モデル」(企業の信頼を構築し、高単価を実現)
を組み合わせることで、収益の安定性を確保しつつ成長を加速できる。

「利益を増やすには、コスト削減だけでなく価値創造が必要」 → 顧客視点で利益を設計する

具体的な活かし方

•  価格競争に陥らないよう、「価値を生み出す」視点で利益を設計する
•  「顧客が最も価値を感じるポイントはどこか?」を分析し、利益モデルを調整する
•  顧客に対する提供価値が明確になるよう、マーケティングや商品設計を最適化する

実践例
高級ホテルは 「ブランド利益モデル」+「取引規模利益モデル」 を組み合わせることで、「安売り」ではなく「高価格・高付加価値」で利益を最大化している。これにより、コスト削減に頼らずに利益率を向上させることができる

 

 まとめ

本書は、「利益」を単なる結果ではなく、「戦略的に設計し、創り出すもの」として捉え直すことの重要性を教えてくれます。

•  利益は戦略的に生み出すもの
•  利益モデルは1つではなく、複数を組み合わせることで競争優位性を確立する
•  コスト削減だけではなく、価値創造によって利益を生み出す
•  企業の状況に応じて、最適な利益モデルを選ぶ

あなたのビジネスは、どの利益モデルに当てはまるでしょうか?そして、どのモデルを強化すれば、持続的な成長が可能になるでしょうか?
本書の視点を活用し、自社の利益構造を見直すことで、新たな成長戦略を描くヒントが見えてくるかもしれませんね。

 

「私の読書メモ」でご紹介した本

ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか

ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか(Amazon) 

「ビジネスリーダーの書棚」
名著を通じてビジネスの知見を探究する読書会。
毎月1回、日曜日に定期開催中。

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