松下幸之助ー人生心得帖
私の読書メモ
【目次】
1.本書からピックアップ
2.感想
3.この言葉の活かし方
4.まとめ
5.「私の読書メモ」でご紹介した本
1.本書からピックアップ
自然の理にかなったことで、事がならないものはない。何にもとらわれない素直な心で、何が理なのかを見極めつつ行動していきたい。 人生の中で自然の理に従うとはどのようなことでしょうか。それは、取り立てて難しいことではなく、雨が降れば傘をさす。そうすれば濡れないで済む、と言うような、いわば万人の常識、ごく平凡なことだと思います。 例えば、病気で熱が出れば無理をせずしばらく休養する。何かでお世話になった人には丁寧にお礼を言う。商売でいえば、良い品物を作って、適正な値段で売り、売った代金は確実に回収する。あるいは売れないときには無理に売ろうとせず、ひと休みし、また売れるようになれば懸命に作る。 自然の理法に従っていけば、あらゆる事柄がもともとうまくいくようになっていると思うのです。
大成功や大失敗だけが、人生における体験ではない。平穏な日々の中でも、心の持ち方いかんでは大いに体験を積むことができる。例えば、塩を見れば、“あぁ塩と言うのは白いものでこんな感じのものなんだ”と言う事はわかります。しかし、塩の辛さと言うものはいくら頭で考えたり、目で見たりしてもわかるものではないでしょう。頭で考えるのではなく、自ら味わってみて初めて塩と言うものがわかる。そのように体験を通して初めて物の本質を掴み理解することができると言う場合が、世の中には少なくありません。いわば、“百聞百見は一験にしかず”ということも、ある場合には言えると思うのです。 小さな成功と小さな失敗とから成り立っている仕事の一つ一つをよく味わっていくならば、一見平穏無事の日々の中でも、様々な体験を持つことができ、それらが全て人生の糧となって生きてくると思うのです。
知識も大事、知恵も大事、才能も大事。しかし、何よりも大事なのは熱意と誠意である。この2つがあれば、何事でも成し遂げられる。私も、これまで熱意と誠意の大切さを痛感し、自分がこの点において欠けるところがないかということを、絶えず自問自答してきました。 社長と言うものは何よりも熱意と誠意だけはその会社において1番のものを持っていなければならない。社長にそれがあれば社員もそれをに感じて、知識あるものは、知識を技能あるものは技能と言うように、それぞれに自分の持てるものを提供し働いてくれる。
2.感想
人生は「特別な出来事」ではなく、「日常への向き合い方」で決まる
人生心得帖で松下幸之助が一貫して語っているのは、人生を難しく考えすぎるな、という姿勢です。
自然の理に従えば、物事は本来うまくいくようにできている。その「自然の理」とは、特別な哲学や高度な理論ではなく、誰もが理解できる常識であり、当たり前の行動だと説きます。
雨が降れば傘をさす。熱が出れば無理をしない。お世話になった人には礼を言う。
商売では、良いものを作り、適正な価格で売り、代金をきちんと回収する。
売れないときには無理をせず、また流れが来たら懸命に取り組む。
これらはすべて、ごく平凡な判断です。しかし松下は、この「平凡さ」を軽視しません。むしろ、人生や仕事がうまくいかなくなる原因は、この当たり前を無視することにあると見ています。
また本書では、「体験」の価値が強調されます。
人は知識や情報によって理解したつもりになりますが、本質は体験しなければわからない。塩の辛さは、見ても考えても理解できず、味わって初めてわかる。この例えは、仕事や人生の多くが、頭での理解ではなく、経験によって深まることを端的に示しています。
特筆すべきは、「大成功や大失敗だけが人生の体験ではない」という視点です。
平穏な日々の中にも、小さな成功と小さな失敗は必ず存在する。それを味わい、学び取れるかどうかは、心の持ち方次第である。日常を流してしまう人と、糧に変えられる人との差は、ここに生まれます。
そして、熱意と誠意の重要性です。
知識や才能は人によって異なります。しかし、熱意と誠意は誰もが持てるものであり、最も周囲に影響を与える力でもある。特に、上に立つ者ほど、この二つにおいて誰にも負けてはならない。
人は命令で動くのではなく、姿勢に動かされる。その人間観が、静かに、しかし力強く伝わってきます。
3.この言葉の活かし方
「当たり前」を丁寧に積み重ねる判断軸を持つ
具体的な活かし方
• 難しい解決策を探す前に、「今、自然な判断をしているか」を自問する
• 無理・ごまかし・先送りをしていないかを、日常の行動で点検する
• 調子が悪いときは、あえて立ち止まり、流れが変わるのを待つ選択を持つ
実践例
仕事がうまく進まないとき、根性論で押し切ろうとせず、一度立ち止まって業務量や進め方を見直し、再び取り組める状態を整える。
日常の「小さな体験」から学びを引き出す
具体的な活かし方
• 成功・失敗を大きさで判断せず、「何を感じ、何を学んだか」に目を向ける
• 経験を「結果」だけで終わらせず、言葉にして振り返る
• 平凡な一日を、振り返りによって意味づける習慣を持つ
実践例
特別な成果がなかった一日でも、「うまくいった対応」「判断に迷った場面」を振り返り、次の行動に活かす視点を整理する。
熱意と誠意を、行動で示し続ける
具体的な活かし方
• 知識や正論を語る前に、自分の姿勢が相手にどう映っているかを意識する
• 相手や仕事に対して、誠実に向き合っているかを定期的に点検する
• 上に立つほど、熱意と誠意を言葉ではなく態度で示す
実践例
管理職が忙しさを理由に部下との対話を後回しにせず、短い時間でも真剣に話を聞く姿勢を保ち、信頼関係を積み重ねる。
4.まとめ
『人生心得帖』が教えているのは、人生を大きく変える秘訣ではありません。
人生を誤らせないための、基本姿勢です。
自然の理に従い、当たり前を大切にすること。
日常の小さな体験を味わい、学びに変えること。
そして、熱意と誠意をもって人と仕事に向き合うこと。
これらは派手ではありませんが、人生と仕事を確実に前に進める力を持っています。
今日の一日は、どんな体験を自分に残しているでしょうか。
その問いを持つことが、人生を深める第一歩になります。
5.「私の読書メモ」でご紹介した本
松下幸之助
『人生心得帖(文庫)』(Amazonへ)
本書は、松下幸之助の「心得帖シリーズ」の四作目である。他の五冊が商売と経営をテーマにした作品であるのに対して、本書は表題どおり、人生についての考えを述べたものであり、その人生論はまさに松下自身の体験と鋭い洞察から得た“生き方の智恵”“人生の指針”といってよい。
たとえば、「病とつきあう」という項がある。そこで松下は、病から逃げてはいけない、病を恐れて遠ざけていると、病は後から追いかけてくる。反対に、病を味わい病と仲よくすれば、最後には病のほうから卒業証書をくれる、という。
実際、松下はもともと体が弱く、二十歳の頃に肺尖カタルを患い、三日働き一日休むというような生活をしていた。その後、体の調子と相談しつつ仕事を続け、結局、九十を超える人生を送った。
人間としての成功とは何か、悩みはどう解消すべきか、生きがいとは何か……。人生の達人・松下の言葉には時代を超えた説得力がある。
松下幸之助ー人生心得帖










